サラリーマン文化の真骨頂とも言える「接待ゴルフ」。戯画化された極端なイメージばかりが先行している「接待ゴルフ」ですが、接待ゴルフはくだらないですよね?私もそう思います。 
また、取引先とのゴルフに誘われた場合には、どんなことに気をつけるべきなのでしょうか?

「ナァイスショットオォォォ!!」は今でもある?
 社会人になると、取引先の方とのゴルフに誘われることがあるかもしれません。

 ゴルフを一緒にプレーするなかでさまざまなコミュニケーションがとれるなど、今後の仕事が円滑に進む良い機会となる可能性も高いため、こうしたお誘いは積極的に受けたいところです。
実際に取引先の方と一緒にプレーすることになった場合、家族や友人たちとプレーするのと同じ感覚でいていいのでしょうか?

 というのも、社会人には「接待ゴルフ」と呼ばれる文化があるからです。

「接待ゴルフ」に具体的な定義はありませんが、一般的には、相手を喜ばせることが最重要視されるゴルフのことを指します。くだらないでしよね!

 そのため、自身のスコアやプレースタイルを追い求めることは二の次とされることが多く、ゴルフとは別のスキルが求められることも少なくありません。

「接待ゴルフ」は、古くから漫画やドラマなどでネタにされてきたこともあり、極端なイメージが先行していることもあります。

「接待ゴルフ」の典型例
・接待の相手であるゲストよりもスコアで勝ってはいけない。
・ゲストよりも遠くへ飛ばしてはいけない。
・ゲストが良いショットをした際には「ナァイスショッオォォォ!!」と、普段以上に声を張り上げる。
・ゴルフ場の入口でゲストを出迎える。
・プレー後はゲストの好きな店を押さえておく。

このようなイメージ通りの「接待ゴルフ」は今でも存在しているのでしょうか?

 取引先の人とゴルフに行く機会が多いという30代の経営者の男性は次のように話します。

「漫画やドラマのような『接待ゴルフ』は、少なくとも自分は経験したことがありません。
というか、昔も本当に存在していたのが疑問です(
接待ゴルフはくだらない)」

「もちろん、取引先とのゴルフは、プライベートで友人たちとプレーするのと同じ感覚ではありません。ただ、取引先の方もリラックスした環境でコミュニケーションを取りたいからゴルフをするのですから、自分が接待する側の場合でも、なるべくリラックスして臨むように心がけています。明らかに手を抜くようなことや、露骨にヨイショするようなことはかえって失礼にあたるのではないかなと思います」

プレーする相手が誰かにかかわらず「みんなで楽しむ」ことが大事
 では、取引先とのゴルフに誘われた若手社員は、どのようなことに気を付けるとよいのでしょうか?

「ゴルフのスキルにかかわらず、一緒にプレーする人としっかりとコミュニケーションをとることが重要だと思います。自分のプレーにあまり自信がなかったり、ルールやマナーに不安があったりする場合には、一緒にプレーする人にアドバイスを求めてみるといいかもしれません」

「絶対に避けてほしいのは、スコアが伸びないからといって不機嫌になったり、ひとりでふさぎ込んでしまうことです。もちろん、スコアが想像以上に伸びたからといって、ひとりで盛り上がってしまうのもNGです」

「ただ、これは家族や友人とのプレーでも同じことだと思います。一緒にプレーする相手が誰かにかかわらず『みんなで楽しむ』という意識が何よりも大切だと思います」

(出典:e!Golf)

接待ゴルフのメリットは以下の4つです。

 ①普段は会えない相手とも商談できる

経営者や社長など重役クラスの人は、アポイントをとるのが難しい場合も少なくありません。しかし、「ゴルフならいい」と参加してもらえるケースもあるでしょう。また、重役クラスの人の中には、「平日のスケジュールはいっぱいだけど、土日は余裕があるからOK!」という方もいるかもしれません。重役クラスの方と接待ゴルフができれば、距離をグッと縮めることができ、今後の取引にもよい影響が出るでしょう。

 ②新しい仕事をもらえる可能性もある

取引先の相手がゴルフ好きだった場合、「共通の趣味(話題)」が作れるため、ゴルフを通じて新しい仕事をもらえたり、クライアントを紹介してもらえたりする可能性もあるでしょう。ゴルフは、コミュニケーション能力が欠かせないスポーツです。取引先とゴルフを通してコミュニケーションをとることで、相互理解を深め、信頼関係を築くこともできます。良い関係性が作れると、ビジネスチャンスも広がるでしょう!

 ③普段は聞けない情報が手に入ることもある

接待ゴルフは、普段は聞けない情報が手に入るチャンスでもあります。堅苦しい雰囲気の中でコミュニケーションをとるだけと、ゴルフを通して一緒に気持ちのよい汗をかくのでは、取引先との関係性が大きく変わるでしょう。良好な関係性ができれば、普段は聞けないようなクライアントのマル秘情報や、プライベートの話が聞ける可能性もあります。今後の営業活動に役立つ情報も手に入るチャンスかもしれません!

 ④従業員のスキルアップにつながる

接待ゴルフは、会社側にだけメリットがあると思われがちですが、参加する従業員にとっても、たくさんのメリットがあります。たとえば、以下のようなメリットがあるでしょう。

・トーク力や営業力が鍛えられる
・気遣いや気配りが自然とできるようになる
・段取りがうまくなる
・緊張やプレッシャーに強くなる
・行動量の多さを社内でも評価される
・ゴルフが上手くなる
・社内の人間関係を把握できる
・運動不足を解消できる
・趣味ができる
・紳士的な振る舞いができるようになる

「接待ゴルフはくだらない」と思っている従業員の中には、「自分にメリットがない(意味がない)」と思っている方も多いかもしれません。その場合は、従業員側にもたくさんのメリットがあることを伝えるのが大切です。自分のスキルアップにつながると分かれば、前向きに参加してもらえるでしょう!
(出典:www.keihin-park.com/hpgen/HPB/entries/10897.html)

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<接待や懇親会は残業代などの対象になるのか。取引先との休日のゴルフは労働時間に入るのか。法律的に考えると、実はなかなか難しい問題だ>

社内での懇親会や、取引先とのゴルフに参加した社員から「これは残業ですか」「労働時間ですか」と聞かれるという相談を受けたことがあります。

一般的な経営者の常識としては、「そんなものが残業となるわけないだろう!」と感じているはずです。タダで楽しんでいるのに、残業代など請求するなどありえないという感覚です。

ただ、法律的に考えると、これはなかなか難しい問題です。そこで、法的に本件はどういう風に考えるのか、過去の判例なども参考にしながら考察してみます。

労働時間とは

接待や懇親会が、残業代などの対象になるかどうかは、それらが"労働時間"に行われたか否かによって決まってきます。それでは、労働時間かどうかの判断はどのようになされるのでしょうか。

過去の判例では「労働時間とは、客観的にみて、労働者の行為が使用者の"指揮命令下"に置かれたものと評価できるか否かにより決まる」と判断されています。

労働契約というのは「労働者が一定の時間雇用主の指揮監督下に置いて労働に従事するもの」です。そうである以上、会社の指揮監督権が及んでいる場合には、労働時間とされるのはある意味当然でしょう。

抽象論としては、とくに問題ありませんが、具体的事案の場合、接待や懇親会において雇用主である会社の指揮命令があったのかなかったのかの判断は、かなり難しいものがあります。

ゴルフ接待は労働時間になるのか

ゴルフの接待が労働時間と認められるかが争われた判例があります。

ただ、この判例においては、ゴルフ接待の場合「基本的には労働時間とは認められない」と判断されています。基本的にはゴルフは、本人も楽しんで行うものです。

また、"接待"といっても、具体的に何かの仕事に関連してのゴルフということは通常はありません。一般的に親睦を深めるのが目的です。そのような中で、ゴルフ接待が当然に雇用者の指揮命令が及んでいるとはいえないとの判断でしょう。

そして、雇用者が取引先とのゴルフに参加するようにいった場合や、出席費用が、事業主より出張旅費として支払われていたというだけでは、やはり指揮命令が及ぶ労働時間とは認められないと判断しています。

■接待でも労働時間と認められる場合

それでは、ゴルフ接待の場合は、絶対に労働時間とは認められないのかというと、そういうわけではありません。

一般的に、取引先とのゴルフに参加するだけでは、雇用者の指揮命令に服したとはいえないのは確かです。しかし、そのゴルフで大切な商談がなされることが決まっており、雇用主がそれへの参加を明確に命令しているような場合は、指揮命令権が及んでないと考えることはできません。相手先を特定し、具体的な任務のもと、特定の日時にゴルフをするような場合は、会社の指揮命令に服しているといえるからです。

理屈としてはそういうことになりますが、具体的な判断は難しいところです。一般論としては、ゴルフ接待の場合はなかなか労働時間とは認められないと考えた方がよさそうです。関連する画像>