今大会は、アマチュアの躍動が目立った大会でした。優勝した清水選手をはじめ、5位タイの丸尾怜央選手、28位タイの小林翔音選手、大嶋港選手の4人が予選を突破しました。ちなみに、昨年大会は比嘉拓也選手が優勝しましたが、アマチュアの中野麟太朗選手がプレーオフまで進み、優勝まであと一歩でした。早稲田大学の中野選手は、今年の「日本アマチュアゴルフ選手権」で優勝しているプレーヤー。今シーズンのレギュラーツアー4試合に出場し、「フジサンケイクラシック」15位タイ、「バンテリン東海クラシック」18位タイと、ローアマを獲得しています。
清水選手や中野選手らの活躍を見ても分かるように、最近のアマゴルフのレベルは高くなってきました。同時に、「ABEMAツアー」のレベルも上がっており、今年9月の欧州ツアー「カズーオープンdeフランス」で初優勝を飾った久常涼選手は、21年の「ABEMAツアー」で3勝を挙げています。
また、今季の同ツアーで2勝し賞金王を確定させている生源寺龍憲選手や、同じく2勝の鈴木晃祐選手、1勝の杉原大河選手は現在レギュラーツアーで活躍中。22年シーズンに2勝を挙げて賞金ランキング2位になった小木曽喬選手は、今シーズンのレギュラーツアー18試合に出場し、全試合で予選を通過するなど、安定した成績を残しています。
ひと昔前までは、下部ツアーで好成績を残していても、レギュラーツアーですぐに活躍するのは難しかったのですが、最近は以前に比べてレギュラーツアー、下部ツアー、それにアマチュアゴルフのトップ選手のレベルが近づいてきている印象を受けます。
丸山奨王のスイングエラーを防ぐルーティン
さて、そんなABEMAツアーを見ていて目に留まったのが丸山奨王選手です。丸山選手は、プロゴルファーの丸山茂樹選手の長男で、2022年にプロ転向。300ヤード超えのドライバーと、父親譲りのショートゲームの巧さを持っており、将来性を感じるプレーヤーの一人です。先週の大会は残念ながら予選落ちでしたが、興味深いルーティンをしていたので紹介します。
丸山選手は、左ワキにシャツを挟むような仕草をして、左ワキを締める意識付けをしてからアドレスに入ります。スイング中に左ワキが空くと、体の左サイドが伸びあがり、クラブが寝やすくなります。また、スイング軸が右に傾き、あおり打ちになることもあります。左ワキをキュッと締める意識を持つことで、これらのスイングエラーを防ぎやすくなるわけです。
練習ではワキにタオルやグローブを挟んで練習する方法もありますが、丸山選手のルーティンを参考にすると、ラウンド中も左ワキの意識付けができます。あおり打ちの人、球がつかまらない人などは、このルーティンをぜひやってみてください。
丸山 奨王(まるやま・しょーん)
2000年生まれ、米国カリフォルニア州出身。プロゴルファー丸山茂樹の長男。アメリカで生まれ、アメリカ育ち。2016年「ウェスタンジュニア選手権」で優勝。翌年の「ジュニアプレジデンツカップ」では世界選抜メンバーに選出される。18年はゴルフの名門・カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に進学。2022年にプロ転向し、同年8月の「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」でツアーデビューした。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
小澤裕介
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